祖父が亡くなった。享年98歳。
去年亡くなった祖母とは、よく大阪人らしい、割と激しい喧嘩をしたが、孫の私達には優しかった。
いつも明るく、笑っていた印象で、時間があれば仏様を磨き、趣味の川柳のネタを探していた。
晩年は病との闘い。原因不明の発熱と浮腫。入退院を繰り返したらしい。
当時97歳だったから、体力のない人なら熱は出せないし、浮腫も出ぬまま亡くなるであろう。多分そんなに苦しまず。
しかし祖父の体は猶お生きようとして、外邪に対して発熱で抵抗し、その熱を冷やさんがために浮腫を形成した。
その苦しみは、「なんでおじいちゃん、何も悪いことしてへんのに、あない苦しまないかんのやろ?」との叔母の言葉が物語る。
闘うこと半年以上。その苦しみは計り知れない。
何故、そこまでも生きようとするのか。
叔母は「折角授けて貰った命やから、1日でも長く生きて貰いたい」と言っていた。
多分、祖父自身も理由は分からなかっただろうけど、祖父が築いた元の家族で、一人遺される叔母の為だったのかも知れない。
とにかく、祖父は命一杯に生きて、命一杯に亡くなった。
死に顔はとても穏やかで、鼻筋が少し私と似ている、と初めて感じた。
命はやはり有限だ。
私も命一杯に生きよう。
祖父の名に恥じぬよう。
祖父の顔を見ながら、そんな風に考えた。
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