灸の起源は実は鍼よりも古く、やはり中国といわれています。
日本でも江戸時代には本場の中国よりも盛んに用いられていました。
松尾芭蕉の「奥の細道」にも「もゝ引の破をつゞり、笠の緒付かえて、三里に灸すゆるより、松島の月先心にかゝりて・・・」と、庶民の薬箱に常備され、旅立ちの前の病気予防や疲労回復に用いられていたことがわかります。
本場中国よりも日本で発展したのは、気候風土との関係があります。
四方を海に囲まれ梅雨や秋雨のある日本は、湿気が多く湿気による病にかかりやすかったのです。
東洋医学では湿気は「湿邪(しつじゃ)」と表され、消化器( 「脾胃(ひい)」)を傷めるとあります。
経験的にそれを知っていた先人たちは通気性の高い日本家屋に土壁、障子を使い、更には胃腸に負担の少ない和食で「湿」を少なくしていました。
それでも取りきれない湿気に対し温熱作用と「気」をめぐらせる作用の高い灸を用いたのです。
現代の日本にも「湿邪」は蔓延しています。
通気性の少ない住宅に脂っこい食事。日本人の胃腸はかつてないほど痛めつけられています。
すみれ堂では、その状況を鑑みて灸を多用しています。
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